武魂杯(2019/11/10)

今回、上野毛道場として初めて武魂杯に参加させていただきました。
上野毛道場からは4名の選手がエントリーしました。
1名は試合デビューの女子高校生、あとの3名は試合がしたくても実力に応じた試合が無く出場できなかったり、このところ勝ち星がなく自分の実力に対して不安になっていた子たちばかりです。
さて、一番手は陽介選手。稽古でもしっかりと組手を考えて行い、巧い組手をしますが、試合では相手選手の勢いや上段への攻撃でそのテクニックを発揮することがなかなかできませんでした。今回の試合では身体も随分としっかりしてきたこともあり、 初戦から落ち着いて自分の組手を確実に行うことができました。
初戦から決勝までの5試合、すべての試合で安定した組手が出来て準々決勝からはすべて技ありを取っての優勝です。

続いては試合そのものが初チャレンジのソフィヤニ選手。出場人数の関係でトーナメントではなくリーグ戦での試合となりました。まだ、入門10ヶ月でオレンジ帯びながら普段の稽古でもキツイことにもしっかりと取り組む姿勢が試合にも表れ第1戦目、文字通り初めての試合でしたが勝手がわからず開始の合図と同時に勢いよく飛び込んでくる相手にびっくりしてしまい、後手に回り相手の優勢を許してしまいました。しかし後半、持ち前の強い気持ちとパワーで反撃して相手を押し込んでいきましたが時すでに遅し、時間切れで判定負けになってしまいました。
第2戦目は1戦目の経験が生きて初めから攻めることができ、相手を圧倒しての判定勝ち。第3戦目も同様に積極的に攻めることができましたが相手の技術が上回り判定負け。
しかし、デビュー戦で対戦した3人すべてが格上の選手という中、強い気持ちが途切れることなく1勝を挙げたことは本当にすごいことだと思います。これから技術が身についていくとさらに強くなっていくことでしょう。

次は想空選手。このところ試合に出場するたびに結果は出ないものの少しずつ殻を破ってきました。 元々ポテンシャルは高いのですが、慎重な性格でいまひとつ自信が持てずに不安がっていました。今回の試合では今までの経験を活かし、稽古でさらにレベルアップした体力と技術で積極的に攻めることができ、初戦から決勝まで堂々と自信を持って戦うことができ優勝しました。

最後は大馳選手。この年齢になるとレベルの合う試合が中々なく試合経験を積むことが出来ずに出られる試合でも強い気持ちで積極的な良い試合をするのですが、体が小さく体格・体力差で一歩及ばずに勝ちに恵まれていませんでした。
しかし腐ることなく地道に稽古を続けて確実にレベルアップしてきました。
今回の大会でも積み上げてきた稽古の成果を出すべく巧みにステップを使い、技を振り分けて勝ち上がりました。決勝戦でも一回り体の大きい選手、今までなら体格差で押し切られていたところを軽快なステップで技を外しながら的確に自分の技を当てていき見事優勝!!

幼稚園の頃から指導を受けていた田口支部長に喜びの優勝報告

幸いにも今回は3人の選手が優勝することが出来ました。
しかし、個人として見ても道場として見ても試合は勝ったり負けたり。勝っても負けてもそれはその場だけのものです。次のステージに向かっての稽古はすでに始まっています。今回の選手たちを見てつくづく思うのは真面目と素直さが一番ということです。
人のアドバイスをしっかりと聞ける素直さとそれを実践し反復する真面目さを持つことが大切だと本当に思います。
始めは中々勝てなかった子も真面目に稽古に取り組み、組手の稽古だけではなく基本稽古や型稽古もしっかりと行ってきた結果、軸が安定してきて正確な技が出せるようになってきました。
道場では「とりあえず今だけ勝てれば良い」という稽古ではなく、長い目でしっかりとした技を身に付けてもらう様に心掛けています。すぐには上達が目に見えて現れない場合も多いと思いますが、実際には確実に上達しています。稽古で我慢したり、キツくても頑張ったり、また試合でも勝ったり負けたりと様々な経験を通して、そこから何事にも一生懸命に取り組む姿勢を学ぶことで大げさなようですが、豊かな人生を送れるヒントを得られていると信じています。
空手が武道であり、スポーツとは違うところはこのような部分でもあります。
目先の勝ち負けや進級などの結果にとらわれることなく、できるならば生涯の修行として道場を通して色んなことを学んでほしいと思います。