ありがとう佳心、お疲れ信(2019/11/27)

第12回全世界空手道選手権大会の興奮がまだ冷めていませんが、優勝した上田選手、本当におめでとうございます。16年ぶりに日本の王座を奪還してくれた功績は大きいですね。
永吉美優選手と並び男女で日本人の世界チャンピオンが誕生したことは開催国としては喜ばしいことですね。しかし、大会に参加してくれた世界の強豪たちにも素晴らしい試合を見せてくれたことに惜しみない拍手を送りたいと思います。

世界大会という極真会館としての最大のイベントの裏には数々のドラマがあると思いますが、世田谷東支部から出場した大澤佳心選手、高木信選手も例外ではありません。
どんな大会でも優勝者は一人だけで他の出場者は皆、どこかで負けていきます。
今回の二人も残念ながらその中の一人です。

高木信選手。
空手センス、実力はありながらも今一つ抜き出ることができずにいましたが、強化稽古や世界大会の最終選抜戦での戦いぶりでの日本選手団のコーチ陣の評価が高く、日本代表に選ばれました。
間合いの取り方やタイミングの取り方などを研究して磨きをかけて今回の大会に挑みましたが、初戦からうまい具合にその成果を出すことができて初出場ながら3日目まで勝ち残りました。
さて、その日の相手はロシアの強豪オレクサンダー・イエロメンコ選手です。
まだ無名の高木選手なら相手が油断している隙に、巧く間合いを取りながらタイミングが合わせられれば可能性もあったと思いますが、初めての世界トップクラスの選手相手に警戒しすぎてそれまでの彼の良いところを出すことができませんでした。
しかし、今回日本代表に決まった時から随分と成長した彼は今回の経験でさらに大きく飛躍することでしょう。来年の全日本ウェイト制に既に気持ちは向かっているので本当に楽しみです。

大澤佳心選手。
今回の大会が自身の引退試合にすると語っていた佳心選手。
初日から世界中量級王者としてしっかりと安定した戦いぶりで勝ち上がり、3日目。
相手はアントン・グリアエフ選手。身長196㎝、体重96㎏の大型選手。
これまでの戦いとは違い真正面から打ち合う本来の彼のスタイルに戻っての戦いぶり。試合前に今までの空手人生に集大成を見せると語っていただけにその拳一つ一つに魂がこもっているのが分かりました。
今の彼ならもっと違う戦い方もあったと思いますが、自分自身をすべて出すというテーマで挑んだ今大会。試合後に真銅先生と話をすると「作戦もあったけど佳心がやりたいようにやらせる。勝っても負けても後悔するような試合にはしたくなかった」と話してくれました。
結果としては壮絶な打ち合いの末に惜しくも判定で敗れてしまいました。やり切った思いや勝ちたかった思いなど戦った本人にしかわかるはずもありませんが、いままでたくさんの感動をくれた佳心に心から「ありがとう」と言いたいと思います。
まだ若い彼はこれから社会に出てたくさんのことに挑戦していくと思いますが、これからも応援していきます。